規格外メロン廃棄しません

島根県益田市 メロン農家グループ 「ほしみっつ+」

右から松本さん、真庭さん、渋谷さん。嫁ぐまで農業の経験はなかったが、今では家業とグループ活動をリードする

「味は変わらずおいしいのに割れたことでメロンを破棄していました。そんな現状にもったいないという気持ちが募り、集まって何かできないかと活動を始めました」と話すのは益田市飯田町の渋谷さやかさん(41)。県内屈指のメロン産地の同市で、渋谷さんの他に真庭幸(みゆき)さん(40)、松本裕美さん(42)のメロン農家3人を中心にグループ「ほしみっつ+(プラス)」を立ち上げた。

メロンの栽培面積は減少傾向で、贈答に利用する人は年配者が多いことに危機感を抱き、2018年より規格外メロンを使った商品のPR活動を開始した。

当初は、メロンピューレを自ら試作し、販売を検討したものの、家業の合間での作業は難しかった。このため、同市で酒造りに取り組む株式会社岡田屋本店に相談。規格外メロンを持ち込み、味やデザインを追求したメロンリキュール「あむめろ」を共同で開発した。19年に地元スーパーや道の駅で販売したところ大きな反響があったという。

メロンリキュールあむめろ(税込み880円)はメロンの濃厚な甘さが女性に人気だという

製造を担当した同社の大谷弘二(こうじ)取締役COOは、「アムスメロン本来の味に近いものを目指し、果汁を40%も使ったお酒です。ロックで飲むのがお勧めで、アムスメロンの味を存分に楽しんでいただけければ」と話す。

 リキュールのほか、「アムスシェイク」やメロンをそのまま削った「けずりメロン」など季節限定の商品なども提携販売する。「シェイクを飲んだ方から、『普段買っては食べないけど、飲んでおいしい』と言ってもらえたのがうれしかったです」と真庭さん。

加工品向けの需要は年々増え、今年は規格外のアムスメロン約317㌔を出荷した。もっと欲しいという声はあるが、栽培状況や生食との兼ね合いで難しく、今後の検討課題だ。「もちろん、規格外となるメロンは少ないほうが良いです」と松本さんは苦笑する。

 「バームクーヘンなどのお菓子作りやメロンフェアなど、出来る範囲で幅広い年代へPRして、メロン栽培を継続できる環境を作っていきたいですね」と3人は笑顔で話す。

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