蜂蜜で島根を元気に
- 松江市青葉台 泉 智加さん-
「蜂蜜は季節や地域、花、木によって味が違います。多くの方に島根の蜂蜜を知ってもらい、ブランド化したいですね」と話す、松江市青葉台の泉智加さん(31)。自ら養蜂をしながら、島根県産の蜂蜜を卸販売する会社「いち花」を起業し、県内外へ蜂蜜の魅力をPRしている。
泉さんは5年間、島根県観光連盟に勤務し、観光業務をしながら「もっと島根に訪れてほしい、地域を盛り上げていきたい」という思いを強く抱くようになった。そんな中、県内産や国内産の蜂蜜が店頭にないことに気が付いた。親戚のイチゴ農家が受粉用に蜜蜂を飼っていて、子供のころから身近に蜂蜜があったことも興味を持つきっかけとなった。
県内の養蜂家は約170人。
退職後、養蜂家を訪ね歩き、県内には小規模の養蜂家が多く、販路がないことや高齢化が進む現状を知り、ビタミンや鉄分、ミネラルが豊富に含まれる蜂蜜の魅力を広く知ってほしいと2017年4月に起業した。
泉さんは、養蜂のことを知ろうと同市下佐陀町の養蜂家 松尾康宏さん(50)から西洋ミツバチ2箱を譲り受け、週2、3回は巣箱の蜜や卵などの状況確認を行い、養蜂を学んでいる。春から秋までが採蜜期間。冬は月1回巣箱の様子を確認する。はちみつの知識を深めるために、はちみつマイスターの資格を取得した泉さんは「蜂に刺されることもありますが、自分で調べて体験することで、養蜂家の苦労やミツバチのことがよく分かります」と話す。
昨年6月には松江市・大田市・美郷町の養蜂家から蜂蜜を仕入れ商品化。高濃度で天然成分が豊富な非加熱蜂蜜は、味比べができるよう50gの小瓶に入れ「美郷の春」「松江の初夏」などと名付け、かわいらしいラベルとリボンで女性が手に取りやすいデザインとした。市内2か所とイベント出品やインターネットで売り出し、1,000個を完売。今年は約2,500個の製造を予定している。
「女性の目線で蜂蜜を販売することは新鮮ですね。蜂蜜を卸す方も泉さんが養蜂の知識があるので安心です。これからも期待しています」と周りの養蜂業者の励みにもなると松尾さんはエールを送る。
「今年は江津市と益田市でとれた蜂蜜も取り扱う予定です。夢は県内19市町村の蜂蜜を卸し販売していきたいです」と今後も販路拡大と蜂蜜の魅力をPRしていく。