門徒同志で野菜栽培
大田市 浄福寺チッタ農縁
大田市で寺の門徒会が中心に運営する「浄福寺チッタ農縁」(松下誠代表=74歳、会員20人)では、2年前からネギ栽培を始め、定植器具の独自作製や作業工程を細分化して作業を省力化。高齢者でも負担なく農作業に参加できる環境をつくり、品質の良いネギを県内外に向けて出荷している。
「みなさんが元気に作業する姿や栽培した野菜で、町全体が元気になるとうれしい」と話すのは高津眞悟住職(60)。同会では会員の年齢が70代から80代が中心であり、できるだけ省力で栽培できる作物を探していたところ、地元のJAから需要も多いネギを紹介されたことで栽培を始めた。栽培する品種は下仁田ネギと九条ネギを掛け合わせた「夏扇(なつおおぎ)」で、柔らかく甘みがあるのが特徴。定植は6月末に行い、7㌃の畑には約9千本の白ネギが植わる。
栽培を始めた当初、畝に定植用の穴を一定の深さで開けていく作業に苦労した経験から、今年、定植用の穴開け器具を作製した。地元の鉄工所に協力を依頼したもので、鉄でできた筒をマルチの上から差し込めば、簡単に定植用の穴が開くよう工夫し、苗は開いた穴へ落とし込むだけにした。白ネギは通常、定植後に土寄せを行わなければならないが、この方法では定植だけで土寄せ作業が不要だ。「省力化になり除草と病害虫の防除に集中できます」と松下代表は効果を実感する。
会員が楽に作業できるよう作業は分業制とする。一人が一つの作業を集中して行うことで作業負担を減らし、参加者に自分ができる仕事をしてもらう全員参加型の営農を実践している。また、作業も短時間で終わらせるようにし、体力面にも配慮する。
収穫期は11月から2月の4カ月間で、昨年は1.2㌧をJAを通じて県内外に出荷した他、地元の学校給食にも使用されている。JAしまね石見銀山地区本部営農センターの林隆幸さんは「去年はとても太く品質の良い白ネギができた。出荷作業も丁寧で、商品がきれい」と話す。
「自分たちに合った作物か試験的に栽培するのも楽しみの一つ」と今年はトウモロコシ栽培にも挑戦。会員同士の繋がりを大切に共同作業を楽しんでいる。