スパルタ栽培の高糖度トマト
江津市「アグリプラント甲斐の木」
江津市都野津町の江津コンクリート工業株式会社は、公共工事の減少などに対応するため、農業事業部「アグリプラント甲斐の木」を2014年に立ち上げた。現在はハウス4棟(46㌃)で、高糖度トマトの栽培・加工に農福連携で取り組んでいる。
「生食・加工ともにニーズが高く、収穫期間が長いため、長期雇用に向くトマトを選びました」と話すのは、同社のの茅島昇代表取締役社長(68)。トマトはニーズが高いものの競合相手が多い。同社では付加価値を高め差別化を図ることが重要と考え、徹底したデータ管理のもと、養水分を与えすぎない「スパルタ栽培」を導入した。
フィルムを敷き、養水分の吸収を抑えトマトにストレスをかけることで、糖やアミノ酸の含有量が上昇。さらに完熟するまでじっくり待ってから収穫する。
同社の新尾一夫取締役 (64)は「試行錯誤の連続でした。養水分を与えすぎず、枯らさないように、バランスを取りながらデータの収集と分析を繰り返しました」と振り返る。
こうして完成した「スパルタ生まれの笑ちゃんトマト」、「スパルタ生まれのひみこ」は、うま味の強さと優しい甘さが特徴。農業事業部の茅島辰一専務取締役(39)は「酸味が少ないので、トマトが苦手な人もぜひ食べて欲しいですね」と笑顔で話す。
収穫したトマトは、江津市以西の地元スーパーなどで販売するほか、ホームページからの通販にも対応する。生食以外にもジュースやピューレ、アイスクリームなどの加工品を扱う。
茅島専務は「新商品としてジャムも販売する予定です。収量が安定してきたので、将来はさらに増棟することを視野に入れています」と意欲を示す。
就労支援にも注力
同社では就労支援の福祉事業にも取り組む。農業事業部を立ち上げた当初から通常の雇用が困難な人に仕事を提供する継続支援事業を実施。加工品のシール貼付け作業などの軽作業から、誘引・収穫といった栽培作業まで働く場を幅広く提供し、自立支援に役立てている。
また、同社が市内で運営する障害者福祉施設で、全国チェーンのポップコーン店のフランチャイズ契約を山陰両県では初めて結び、製造・販売に取り組む。
茅島社長は「福祉事業は11年から取り組んできま した。農業部門でも農福連携で長く続けていきたいですね。」と話す。
▽アグリプラント甲斐の木ホームページ https://emicyan.jp/