遊休ハウスの貸し出し 新規就農の足掛かりに

松江市 池原 真樹さん 

JA所有の水稲育苗施設を未稼働期間に借り受けて、トロ箱を利用した移動型少量培地耕(通称・トロ箱栽培)によるミニトマトの栽培を行うのは松江市の池原真樹さん(39)。ハウスを借りることで、建設費用など初期投資を大幅に抑えて新規就農を実現。経営を安定させ、将来は自らのハウスを建設したいと奮闘中だ。

以前、介護関係の仕事に就いていた池原さんは、仕事を通じて食事が人を健康にすることを実感し、「食べた人を元気にする野菜を作ってみたい」と農家を目指して2015年に退職を決意。

すぐさま、松江市が主催する就農希望者を対象とした「だんだん営農塾」に参加し、中海干拓地で約1年間農業の基礎を学んだ。その後は、県の研修制度を利用して市内の農事組合法人でトロ箱栽培によるミニトマトの実地研修を受けた。

トロ箱栽培とは、トロ箱にもみ殻やヤシガラなどを培地として敷き詰め中央に設置した給水装置から養液を送るシステムで、軽量で設置や移動が簡単なのが特徴。この特徴を利用して、水稲育苗ハウスが稼働しない遊休期間に就農希望者に対しハウスの貸し出し事業を検討していた県と市とJAの構想に、新規就農を目指していた池原さんの思惑が一致して、事業実施の第1号となった。

貸出期間は、6月から翌年2月までの9か月間で最長5年を限度とする。だんだん営農塾の受講者で、トロ箱栽培を利用して施設園芸農家を目指す新規就農者が対象となる。

同市東出雲町内にあるJAしまねくにびき地区本部が所有する水稲育苗施設を3棟(12㌃)借り受け、2品種2100本のミニトマトを栽培している池原さんは「ハウスを建てるための初期投資は高額で勇気が必要ですが、この事業を利用することで就農への足掛かりとなりました」と笑顔で話す。

JAしまねくにびき地区本部の営農企画課安田淳一課長は「使える時期の制約はあるが、ハウス経営の練習として活用することは就農者にとって金銭的にも精神的にも助けになると思います」と貸し出しの意義を強調する。

「まだまだ助けてもらうことばかりですが、自前のハウスを建てて、美味しいと言ってもらえるミニトマトを作りたい」と将来を見据える。

「自分のハウスを早く持ちたいとの思いが強くなりました」と池原さん