榊栽培、市場から高評価
津和野町 商人榊生産組合
住民の約半数が高齢者で、森林が占める面積割合約97%の津和野町商人集落では、神事などに使用する榊(さかき)を栽培・生産・出荷をする組織「商人榊生産組合」(田中幸一組合長=65歳 組合員31名・榊約10㌶)が今年で結成30年を迎えた。
「90歳を超えた夫婦も年間約50万円以上の売り上げがある。榊は稲作みたいにコンバインを乗る必要がなく、ハサミとカゴがあって健康な足腰があれば仕事ができる」と話すのは田中幸一組合長。
昭和50年代、小学校の廃校や高齢化などで住民が徐々に減少していくなか、集落存続に危機感を感じた住民同士が話し合いを持ち「ここには林野と元気な高齢者がいる。初期投資も少なく、軽労働で出荷できるのが榊」と集落で榊の一大産地を作るため立ち上がった。
「皆で立ち上がらんといかんという危機感の共有が後押ししました」と田中組合長。
全住民と話し合い、最終的には21世帯中19世帯が栽培に参加。大阪、広島、福岡で市場調査や里山の生育調査、苗木代など開園へ向けて行政の総合的な支援を経て、平成元年に生産組合を設立した。
現在、市場からの評価は高く、年間6万束を県内外に出荷し、注文に対して出荷が追い付かない状況だ
しかし、高齢化などで組合員が徐々に減少するなか、新たな農家獲得に向けて組合加入要件を緩和。2013年から津和野町全体へ、さらにその2年後にはJA西いわみ管内へ門戸を広げたことで集落外の若者が「榊を作りたい」と参加してくるようになった。
同町の登米宏臣さん(43)も新規就農者の一人だ。「商人集落内の圃場に入植しました。榊はある程度剪定と肥培管理を行わないといい商品にならない。難しいけどやりがいがある」と意気込む。
津和野町役場農林課の三浦翔主事は「30周年記念大会が盛大に開催されて、組合の団結が強まりました。組合員数の増加で生産量が増え、発展が期待できます。町として出来る限り支援していきたい」と称える。
田中組合長は「まずは市場の要望に応えることです。新規就農者の増加を足掛かりに新たな商品開発に力を入れたい」と意欲的だ。