スマート農業導入で省力化・分娩事故ゼロ達成

隠岐の島町  村上太一さん、朋恵さん

牛群管理や夜間の見回りなどが省力化され、「導入して良かった」と話す村上さん夫妻

「伝統的な飼い方を大切にしながら、自分たちに合うものを取り入れてきた」と話すのは、隠岐の島町郡地区の村上太一さん(40)、朋恵さん(40)夫妻。

太一さんの父・芳雄さん(72)が代表を務める有限会社村上建設では、2006年に「寿畜産」として和牛繁殖事業に参入した。

隠岐は放牧を主体とした飼養形態が特徴だが、分娩の前後は牛舎で飼養する。

「以前は分娩事故が多く、『こりゃいけん』と思っていた。事故低減のためにできることからやってきた」と太一さん。獣医師のアドバイスを受け、夜間1回給餌による昼間分娩誘起法などに取り組んできた。

3年前からは、牛の首に装着することで異常行動を検知する機器、膣内の温度変化から分娩兆候を知らせる器具、昼夜牛舎内を見渡すカメラなどを順次導入してきた。中には県内で事例のないものもあったが、業者の親切な対応のおかげで実現した。

以前は夜間の見回りを夫妻で協力して行っていたため、眠気との戦いで大変だったという。スマート農業の導入にで、牛群管理や夜間の見回りなどを省力化し、人的ミスを防止。21年は念願の分娩事故ゼロを達成し、効果を実感している。

本年度から島根県が隠岐の産地創生事業の一環として検討を進めているGPS(衛星利用測位システム)を活用した放牧牛の監視システムにも大きな期待を寄せている。

「自分たちに合った機器などの導入で、飼い方が確立してきた。現在は母牛72頭だが、100頭まで増やすことが目標」と意気込む。

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