料理彩るドライエディブルフラワー
奥出雲町 八澤豊幸さん
色鮮やかな花を、いつもの食卓に、いつもの料理に添える。そしてその花が飾りではなく食べることができたら・・・。奥出雲町のきれいな水、きれいな空気の中で育った花を「食べられる押し花」として生産・販売するのは有限会社トムの八澤豊幸代表取締役(34)。自社の発展が町全体の雇用と活気につながればと願い、認知度アップに向けPRを続ける。
乾燥した食用の花をドライエディブルフラワーといい、食材として使うことで料理やデザートがより美しく華やかになる。今ではメディアで取り上げられることが増え、少しずつ浸透してきているが、会社を立ち上げた2014年はまだ知名度が低く、花を食べる文化が根付いていないことから理解を得られず苦労したという。しかし、「需要は必ず増える」と確信し、自ら販売ルートを開拓していった。
現在、ハウス3棟でバーベナやビオラ、バラなど6品種、18色の花を栽培。自社で開発した押し花機で乾燥と加圧を短時間で処理することで鮮やかな発色の高品質な商品に仕上がる。
作業は自社で行うほか、地元の高齢者や福祉施設に委託。委託先の社会福祉法人「あおぞら福祉会」の森山史朗統括部長は「施設を利用する障害者の就労支援として、2019年から花の管理と加工をしています。やりがいを持って作業しており、今後とも協力していきたい」と話す。
ドライエディブルフラワーに使用する花は、農林水産省のガイドラインに従って、化学肥料、化学農薬は不使用なので安心して食べることができる。そのため病虫害には特に気を付け、ハウス内の見回りを欠かさず、花びら一枚一枚に傷や汚れがないか目視でチェック。受け取ったすべての人に満足してもらえるように品質管理は徹底している。
商品は約一年の長期保存が可能だ。無味無臭なので菓子、料理、デザートなど使い方はさまざま。出荷先は県外のレストランやホテルが主で、ヨーロッパやアジア、オセアニアなど海外にも及ぶ。「新型コロナウイルスの影響で出荷が一時期途絶えた国がありました。日本でも同様に影響がありましたが、おうち時間が増えたことで個人の注文が増えました」と話す。
「生まれ育ったこの奥出雲町をドライエディブルフラワーの町として広めるとともに、食育を通じて子供たちにも伝えていきたい。そして将来、若い人が地元へ帰ってくる一つのきっかけになれば最高ですね」と夢を広げる。
有限会社トム
仁多郡奥出雲町三成663‐1
0854‐54‐0577 Fax0852‐35‐5115