ブドウ園を第三者継承 稲作と両立へ

益田市 (合)アグリ米(べい)ブリッジ

益田市の合同会社アグリ米(べい)ブリッジ(藤井強志代表=59歳、従業員3人、水稲33㌶他)では、水稲とブドウ栽培を両立させた多角経営を目指し、市内の農家が所有するブドウ園約1㌶を第三者継承を活用して取得。「デラウェア」や「ベリーA」を中心に栽培を始めた。

「この地区には市内でも有数な果樹団地があり、機会があればブドウ栽培ができればと考えていました」と話す藤井代表。第三者継承とは、後継者がいない農家の設備や営農技術などの経営資産を第三者に引き継がせることができ、新規就農者が早期に農業参入することができる新たな事業承継の仕組み。

ブドウ栽培を引き渡した市内の岡崎弘幸さん(77)は、ブドウ栽培を40年間続けてきた大ベテランだ。「ブドウ栽培を長年続けてきたので廃園にするのがもったいなく、意欲のある後継者を探している ところでした」と岡崎さん。藤井代表と岡崎さんが元々知人であることや周囲の勧めもあり、2018年10月に岡崎さんのブドウ栽培の一切を同社が引き継ぐこととなった。

現在ブドウ園の栽培管理をするのは本人と社員、そして長女の夫・廣瀬智之さん(33)の3人。岡崎さんは定期的に園地を訪れては、アドバイスを通じて自身が培ってきた栽培技術の引き継ぎも行っている。藤井代表は「話を聞きながら技術の習得もできる。設備もあり、ゼロから出発ではないので、いい環境で栽培に取り組めています」とベテラン農家からのバックアップを心強く感じている。

ただブドウ栽培を始めて1年未満のため、今までの水稲を含めた年間の作業スケジュールがどうなるのか不安な一面もあるという。「デラウェア出荷と田植え作業が重なり、またワイン用ブドウの出荷と稲刈り作業が重なりますね。明確な答えはこれからですが、将来を見据えて全力で取り組んでいきたい」と藤井代表は力込める。

島根県農業協同組合西いわみぶどう部会の岩本和雄部会長(47)は「ブドウ栽培への新規就農は喜ばしい。水稲との両立は大変だが、頑張ってほしい」と期待する。事業が軌道に乗れば「シャインマスカット」など規模拡大も視野に入れる。

「ブドウ栽培の取り組みは、地域農業の維持と発展のための一つの手段」と藤井代表は意欲的に話す。

「一つでも作業を怠るといいものができない。大変ですがやりがいがありますね」と廣瀬さん