安い・簡単・快適 ハウスの遠隔管理システム

出雲市 曽田寿博さん

 

「遠く離れた圃場の様子を確認するため、まず監視カメラを自作しました」と話すのは、出雲市でシクラメンやクリスマスローズなど(約60㌃)を栽培する曽田寿博さん(39)。

遠くにいても圃場の状況確認や水やりができる遠隔管理システムを、既存部品の組み合わせで安価に製作し、作業の省力化と効率化に役立てている。

「見学者には独自の資料や動画で説明を行っています」と曽田さん。左奥に見えるのが監視カメラ

曽田さんが栽培するクリスマスローズは、夏の暑い時期に苗を高冷地に移動させて栽培する山上げという作業が必要で、自宅から60㌔離れた圃場までの交通費や人件費が重い負担となっていた。そこで思いついたのが、単体でインターネットに接続できるネットワークカメラをスマートフォンの専用アプリで連携させ、どこにいてもハウス内を監視できるシステムの構築だ。

「製作費は2万円程度。自分で作れば、市販のシステムに比べて導入経費を大幅に削減できます」と曽田さん。一般的に同様のシステムを導入すると10万円程度の経費がかかるが、必要な機器をネット通販で安く購入することで導入コストを抑えた。

監視カメラに自動潅水システムを組み合わせ、水やりも遠隔操作できるよう改良し、20万円近くかかっていた山上げ作業の経費が10万円程度に、水やりに通う回数も週2~3回から月2回ほどで済むようになった。

自作の遠隔システム。カメラの首ふり機能を活用して潅水装置を起動する

遠隔管理システムを広く農家に活用してもらうため、独自のニーズ調査も実施。250名の農家から回答が得られ、システムが高価で導入に踏み切れない農家の実情や、必要と感じる機能がカメラや温湿度管理に集中していることが分かったという。「だれでも簡単に利用できるようにインターネット上で作り方を公開しています」と曽田さん。フェイスブックに「誰でもできる遠隔管理・監視システム」として部品や作り方を掲載している。

近くの畜産農家、飯塚伸広さん(39)は曽田さんのアイディアを参考にした。「牛舎にネットワークカメラを設置しました。分娩の際などに外部から確認できるので助かっています」と話す。

2018年には、農業誌が主催する「グッドアグリアワード2018」でテクノロジー部門優秀賞を受賞し、内外からの評価も高い。

「このシステムが多くの農家の助けとなれば」と、さらなる利便性向上にシステムの改良を続けている。