食用アロエの魅力PR
出雲市 杉谷 泰春さん
アフリカが原産といわれる多肉植物のアロエベラを栽培する出雲市斐川町のあろえんでは、アロエの生葉を中心に販売している。ハウスと露地合わせて35㌃の畑で栽培したアロエは、直売所や市内のスーパー、さらにはインターネットで注文を受けて全国へ出荷。おいしい食べ方の提案も積極的に行うなど、食べるアロエの魅力を発信し続けている。
「初めは父親がトマトハウスの片隅で数株を育てていました」と話すのは、代表の杉谷泰春さん(33)。
杉谷さんが本格的にアロエ栽培を始めたのは2013年から。以前は県外で介護の仕事に就いていたが、父親の体調がすぐれないことから帰郷。その際に、畑の隅で細々と栽培していたアロエが、健康や美容に良いことや周りに栽培農家がなくライバルがいないことに気が付いた。父親から栽培を引き継ぎ、ハウス25㌃と露地10㌃で3年育成した株800株と苗販売用の約2000株と需要に応じて徐々に規模を拡大している。
杉谷さんのアロエの特徴は苦味がなく、肉厚でシャキシャキとした食感が特徴だ。「一株の葉が15枚程度となるよう間引くことで苦味が無くなります。国内に出回るほとんどが外国産ですが、それと比べてもクセがありません」。
収穫したアロエは、切り口を乾燥さるため一晩寝かせてから出荷する。1枚が1㌔以上にもなるアロエの生葉を箱詰めにして5㌔入りを4800円で販売し、時期にもよるが常温で3週間程度は保存が効くという。
ただ、販売の中心は関東や関西など都市部に集中し、ネット販売も毎年30%以上の伸びを見せるなか、地元での売上げは全体の1%程度に留まる。食用アロエを消費者に広く知ってもらうため、近隣の若手農業者で組織する「出雲野菜」のメンバーの協力も得てイベントで試食販売を行うなど、地元でのPR活動に力を入れる。
その効果でアロエを取り扱う飲食店も増え始めた。アロエを使ったデザートを提供する松江ニューアーバンホテルスカイビューキャンドルの寺本隼人シェフは「粘りがすごく、食感もよいので評判も上々です。アロエの新たな活用法について、杉谷さんと考えていきたいですね」と期待をかける。
「中国や台湾などのアジア市場で特にアロエの需要が高く、日本産を強みに海外に進出できれば」と将来の海外展開も見据える。