作業量3分の2/反収228㌔/上位等級90%超 大臣賞の大豆栽培

出雲市  農事組合法人ふくどみ

「作物を見るのが好きな人でないと農業は続きません」と話す高橋さん(左)と佐野代表理事

出雲市斐川町の農事組合法人ふくどみ(佐野芳夫代表理事=66歳、構成農家17戸)では、34㌶で水稲、麦、小豆、大豆を2年3作系で栽培。大豆は、離農者の農地を受け入れたため、4年前の2倍の約14㌶になった。一方で、自動操舵トラクターなどスマート農業を推進し、播種から収穫までの作業量を3分の2まで減らした。2021年産では県平均の2・2倍の10㌃当たり228㌔を収穫し、上位等級比率は90・8%に達した。これらの取り組みが評価され、第50回(令和3年度)全国豆類経営改善共励会で農林水産大臣賞を受賞している。

 同法人の副代表理事兼機械部長の高橋智和さん(45)は「斐川町では家が点在して、固まった圃場がないため栽培しにくいです。また、山陰特有の梅雨やゲリラ豪雨に対する排水対策を考えるのが大変でした」と話す。

排水性の向上には、根粒菌との付き合い方が重要だという。石灰窒素を深層施肥し、根粒菌の働きが弱まる時期に効果が出るようにした。

自動操舵トラクターでの播種は、位置情報の精度を上げる「RTK基地局」を利用した高速高精度作業を実現し、人件費削減や収量増大を図った。

除草対策は、播種前に耕うんを2度、カルチ(株式会社キュウホー製)による中耕培土を適期に実施したところ、雑草発生を抑え、作業量は5分の1ほどになったという。

 ドローン(小型無人機)も導入し、植物活性剤などの肥料や薬剤の散布、生育状況を確認する空撮などに活用している。

法人が管理する圃場と圃場の間に家が点在している様子(写真提供=高橋さん)

JAしまね斐川地区本部狩野直(かりの すなお)営農技監は「高橋さんは圃場の見回りをよくされています。そのような配慮があるので適期に適切な作業を素早くでき、収量増大や高品質な大豆栽培につながっています。それに農業に関するセンスが非常に優れていますね」と評価する。

圃場ごとに条件を変え、どの組み合わせが最適か試行錯誤を重ねている。今後はさらに栽培面積を増やし、10㌃当たり平均300㌔収穫を目指すという。

高橋さんは「農業は高齢化が進み、近い将来は人材確保が難しくなります。その対策として、同じ志を持った人たちと次の展開を考えながら地元に貢献していきたいです」と笑顔で話す。

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