品質向上を追求

川本町「川本エゴマの会」

「昔はエゴマがここまで人気になるとは思わなかった。町の特産品になりうれしい」と釜田会長

川本町で設立された「川本エゴマの会(釜田雄二会長=71歳)」では現在、構成員約20人が約13㌶で栽培する。

同会は前会長の竹下禎彦さん(81)が「エゴマを食べて元気になろう」という理念で立ち上げたもので、約20年が経過。人材確保などさまざまな課題を抱えながらも、品質・収量の向上に取り組んでいる。

「課題克服へ努力惜しまず」

設立から年月がたち、さまざまな問題が出てきた。一つ目は連作障害だ。エゴマを同じ場所で長年栽培すると、生育が悪くなり、枯れてしまうなどの障害が出る。

そこで、10年前から同会の有志で竹堆肥研究会を設立し、竹のチップに廃菌床や米ぬかを混ぜて発酵させた竹堆肥を作った。これによる長年の土づくりの成果で、近年は連作障害が発生せず改善されている。

しかし、竹堆肥は生産量が少なく、構成員全員に配ることができない。増産のための人材確保が必要だ。

二つ目は高齢化。構成員の高齢化が進み、手間がかかる脱穀作業がネックとなっている。

釜田会長は「現在は農家が個々に手作りした脱穀機を使っているが、使いやすいものがなかなかない。今後は、知恵を出し合って、高齢の方でも簡単に作業ができる脱穀機の考案が栽培面積を増やすカギになる」と話す。

三つ目は乾燥だ。現在は天日だけで乾燥しているため、天候に左右されることが多い。乾燥作業を安定させるには、共同乾燥施設が必要になる。

エゴマは脱粒や酸化の早いデリケートな作物だ。刈り取りなどを機械化すれば面積が拡大し収量は多くなるが、品質を低下させる恐れがあるため、できるだけ手作業を心掛けている。

「行政の支援が不可欠」

年度末には川本町の振興協議会を開催し、収量や品質が良かった人の意見を取り入れるなど、品質向上に努めている。「構成員のレベルが上がってきている。エゴマは手をかけるほど成果が出る作物だと思っている」と釜田会長は話す。

川本エゴマの会事務局の柴原伸行さん(50)は「品質・収量向上には行政のバックアップが必要不可欠」とでている。同町役場産業振興課の竹下征二課長補佐は「町では販売補助・面積補助をしている。これがやる気につながればと思う」と話す。

川本エゴマの会では、町や農業技術センターと連携して鳥・虫の被害減少を研究し、栽培技術研修会を開く予定だ。釜田会長は「品質・収量の向上にこれからも努力していきたい。若者がエゴマに興味を持って就農してくれたらうれしい」と期待する。

「自分みたいな若手が増えてほしい」と構成員の野澤友裕さん(37)

エゴマを搾油した「えごま油」

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