女性スタッフが働きやすい環境に

松江市 「たいばら農園」

「愛情をたっぷり注いだトマトです」と多久和園長

松江市に本社を持つさんびるグループ・さんちゃんファームが運営する「たいばら農園」(田中正彦代表取締役社長=63歳、従業員9人)では、同市鹿島町御津の耕作放棄地を利用して高糖度・高濃度トマトの栽培に取り組んでいる。従業員には地元の女性スタッフを雇用。仕事と子育ての両立を支援し、荒れていく農地を救うために、トマトのブランド化で地域の活性化を目指す。

田中社長はふるさとである御津の衰退を懸念し、活性化を目的に2017年にハウスを建設した。現在は2棟(17㌃)で中玉トマト「フルティカ」を「アイメック農法」で栽培。年間約12㌧を出荷し「海辺のトマト」として販売する。

アイメック農法は、土を使わずトマト苗の根元に特殊なフィルムを敷き、余分な水分や雑菌を通さない栽培方法。適度なストレスを与えることで栄養素やうま味が濃縮されるという。土を使わないので病害虫やバクテリアの発生が抑えられ、消毒などの作業の軽減化を図ることもできる。

マニュアル通りに栽培すれば比較的取り組みやすい農法だが、多久和奈緒美園長(37)は他産地と差別化するため、天候や気温に合わせた水分管理に細心の注意を払う。毎日のハウス内の見回りはもちろん、休日は当番制で管理を怠らない。 

「様子をよく見て、かけられるだけの愛情を注ぐのは子育てと同じですね」と話す多久和園長は、子育て中の女性スタッフにも常に気を配る。昨年9月から働く真鍋奈美さん(41)は「子供の学校行事などを優先した休みや、急な休みの申し出も嫌な顔をされないので働きやすいし、本当にありがたいですね」と話す。

「働きやすい環境に感謝します」と真鍋さん

多久和園長は「人が育てば続けられますから」と、パートスタッフの勉強会で意識統一を図り、小さなことでも報告しやすい環境をつくった。その話し合いの中から規格外トマトを利用したゼリーやドレッシングの加工品が生まれ、ギフトとして人気が出ている。

トマトは地元の温泉施設や松江市内のスーパーに出荷。フーズマーケットホックの青果チーフ・山﨑和隆んは「甘くておいしいと評判です。入荷を待って買われるお客さまもいらっしゃいます」と話す。

多久和園長は「楽しい気持ちでないと良いものは作れないと思うので、良い職場環境を意識して、手塩にかけたトマトをたくさんの人に食べてもらいたいですね」と笑顔で話す。

▽問い合わせ=たいばら農園(0852‐67‐3680)

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