食育進め販路拡大も

益田市「真砂の食と農を守る会 大地」

益田市真砂地区の農家50戸などでつくる「真砂の食と農を守る会 大地」は、交流のある市内の保育所や福祉施設から、給食に必要な食材の注文を受け、地域で収穫した安全で安心な農作物を取りまとめ出荷する体制を確立している。煩雑になる集出荷事務管理は、クラウドサービスを導入して労力軽減に成功。この取り組みが地域の流通販路を広げる一助となっており、今後の効果的な地域活性化につながるか期待される。

同地区は益田市の中山間地域にあり、公民館の取り組みとして地区民と市内保育所・小中学校が農業を通じた交流「食育」を盛んに行っている。

同会では、保育所と福祉施設の給食食材として、農薬を使わずに栽培した地元の野菜や加工品の提供を2011年に開始。現在は約390人分の食材を月平均15戸の農家が出荷する。

「当初はファクスでの受注と市販の会計ソフトで集出荷管理をしていたので手間がかかりました。伝票作成が遅いと苦情が出ることもありました」と話すのは事務局の大庭完(ゆたか)真砂公民館長(75)。

そのため、2016年に益田市が地域づくり対策として実証実験を行っていた株式会社サイボウズの「kintone(キントーン)」に着目し、独自の管理アプリを制作した。

注文側がパソコンなどの情報端末で野菜の要望を入力すると、受注側は品目ごとに集計。農家ごとの集荷状況などをリアルタイムで閲覧でき、伝票作成、清算までできるようになった。

意見交換会では保育所の要望や農家側の提案が出される

保育所と意見交換

真砂保育園の永田史江園長(49)は「旬なものを注文しています。子供たちは散歩したときなどに地元の人が作っていることを知っています。嫌いなものがある子も食べる意欲を見せていますよ」と期待を寄せる。

情報を共有するため、農家と保育所の意見交換会を月1回開催。それを受け、何を出荷できるか調整会議を週1回行い各農家へ出荷依頼をする。

出荷担当の本田行尚さん(37)は「のんびり丁寧に野菜を作って出荷してくれるおばあさんもいます。予約していたものがイノシシに食べられて出荷できないなどアクシデントもありますが、注文変更するなど臨機応変に対応しています」と話す。

今後は農作物出荷データを蓄積し、さまざまな視点でグラフ化することで、季節ごとの作物の提案に生かしていく考えだ。「提供が続いて今年で10年目となりました。これからも交流を大切に地域の活力の一つとして続けていきたい」と大庭館長は話す。

出荷はコロナ禍でも平常どおり実施