サル被害抑止に成果

益田市 二条里づくりの会

サルによる農作物などへの被害対策に取り組む益田市二条地区では、地域自治組織「二条里づくりの会」(品川勝典会長)が中心となり、被害の抑止に効果を上げている。情報通信技術(ICT)を活用し、サルの目撃情報を集約した地図の作成や遠隔操作ができる捕獲檻を設置。さらに、侵入情報をもとに先回りして駆除するなど、同会と住民が一体となった獣害対策を進めている。

「今までの仕掛けでは1頭しか捕獲できず、猟師の負担が増えていた」と話すのは、同会で鳥獣被害対策を担当する「くらし部会鳥獣被害防除隊捕獲班」の竹田尚則さん(54)。

竹田さんたちがまず始めたのは、情報を的確に把握することだった。住民から寄せられた目撃情報などをもとに、地理情報システム(GIS)を使いパソコン上の地図に情報を可視化した「二条地区鳥獣マップ」を作成。これで活動範囲の把握と情報共有が迅速になった。

「対応が予防に変わり以前よりフィールドワークは増えましたが、地区のためがんばりたい」と鳥獣マップで打ち合わせをする竹田さん(左)と捕獲班の佐藤伸廣班長(69)。

蓄積したデータをもとに市内の企業と連携して、ICTとさまざまな物がインターネットでつながる「モノのインターネット」(IoT)を組み合わせた捕獲の仕組みを開発。2017年にはスマートフォンから扉を閉めることができる「サル囲い檻」を設置し、システムの実証試験を進めた。

サルをおびき寄せる餌は近所の住民が提供。「お互いが協力することで、駆除は猟師だけの仕事ではないという意識が地域に芽生えた」と竹田さんは振り返る。檻を設置し、数カ月後にはサルの捕獲に成功。捕獲した親ザルに、市から貸与された発信器を取り付けて再び野に放ち、半径800㍍まで確認できる無線受信機で動きを探知し、群れの分析を行った。

檻にサルが入るとセンサーが反応してメールを送信。スマートフォンで檻の扉を遠隔操作して閉じる。

侵入経路に近い集落の住民には受信器を貸与し、サル侵入の受信があれば住民から同会に連絡が入り、先回りして駆除する体制を整えた。益田市農林水産課の河合恒樹主任は「住民の力が一つになった取り組みです。他の地区にも普及していきいたい」と期待する。「今は被害がなくても、サルは賢く侵入経路が変わるかもしれない。二度と来なくなるまで被害を未然に防ぐ活動を続けていく」と竹田さん。今後は、各集落に受信機の設置住民ができるサルを追い払う技術の養成を目指している。