過去の被害を教訓に補強も万全

津和野町 株式会社津和野メロンパーク

「2013年7月に発生した豪雨災害で近くの河川が氾濫し、ハウス内が浸水するなど被害を受けました」と話すのは、鹿足郡津和野町でメロン栽培をする株式会社津和野メロンパーク(渡邉重利代表取締役、従業員8人)の渡邉利生専務取締役(38)。

地元の津和野メロン生産部会で部会長を務める渡邉専務は、自身が大雨や雪でハウスに被害を受けた経験から会員へ共済加入を勧めた。「この地域は従来から雪害などの被害が多く補償は必要」と説明し、部会とNOSAI島根(島根県農業共済組合)が協定を結び、掛金の割引を行う集団加入を選択した。

近隣では大雪で複数のハウスが損壊する被害が過去に発生し、同社のハウスも雪に押しつぶされた。そのため共済による補償だけでなく、足場パイプをタイバーとしてアーチパイプ上部に取り付けて雪の重みによるパイプのゆがみを最小限に抑えるよう工夫するなど、施設自体の補強に抜かりがない。

アーチパイプ上部に這わせたダイバー。降雪時にハウスのたわみが軽減される

同社は現在、ハウス6棟(50㌃)で特産のアールスメロンを栽培し、年間1万3千個を出荷。直売を中心に県内外のスーパーに出荷し、観光農園も経営する。「山間部で規模拡大が望めないなか、限られた生産規模でいかに収入を向上させるかが課題」と渡邉専務。3年前にはふるさと納税の返礼品として採用され、全国に向けて津和野メロンのPRを始めた。津和野町役場農林課の長嶺将志副主任主事は「若きリーダーとして、津和野町の農業をけん引してほしい」と期待を寄せる。

最終目標は津和野メロンのブランド化。品質向上へのヒントとして渡邉専務が重視するのは、観光農園を訪れる来園者の声だ。「苦情こそ大切な情報。お客さんの声から作付や形状など細かな修正を行います」と笑顔で話す。

「大規模災害の備えとして共済加入は必要」と渡邉専務

 

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