夢広がるイチゴ栽培

安来市 大森 雄介さん

2016年に横浜市から安来市下坂田町へ家族で移住し、イチゴ栽培に取り組んでいる大森雄介さん(43)。ハウス4棟でイチゴ7千株を栽培し、会社員生活からの転身でさまざまな課題に直面しながらも、周囲の協力を得て日々の作業改善と技術向上に努めている。

「趣味の家庭菜園でいろいろな野菜を作り、面白く感じていました。40歳になるのを機に就農を決めました」と大森さん。妻の裕美さん(43)が米子市出身だったことから山陰での就農先を探し、事業説明が具体的だった安来市を最終的に選んだ。安来市では受け入れ集落と一体となり、師匠(指導農業士)、農地、ハウス設備、定住に向けた住宅整備までを「就農定住パッケージ事業」として用意。「必要な支援をトータルで準備した、他にない事業」と安来市役所農林振興課の山根純係長は説明する。大森さんはその事業を活用した。

イチゴ栽培を始めて今年で2年目。従来型の土耕栽培ではなく、土に代わり人工的な倍地を使う高設栽培システムを導入した。高設ベンチの設置などに初期投資はかかるが、大森さんは「土耕栽培には土壌菌や残留肥料など見えない部分の難しさがありました。また立ったまま作業ができることも魅力でしたね」と、将来は観光農園化も見据える。栽培する品種は「紅ほっぺ」「かおり野」「よつぼし」の3種類で、収穫は11月後半から始まり翌年5月まで続く。

加工品の乾燥イチゴ。1パック分のイチゴを使っている。

大森さんの師匠であるハウス農家の野島年光さん(67)は「技術や経験は伝えられるが、状況に応じて自分で考えて勉強していくことで実力がつく。地域の新たな担い手として期待をしている」とエールを送る。

分からないことや困ったことは、師匠の野島さんや県の普及部などに気軽に相談できる環境も、営農を続けるうえでの安心感につながっていると大森さんは感じている。「都会では家は寝るために帰るだけで、生活している感覚がなかった。ここでは地域ぐるみの人間関係があり、集落の人、同業農家、関係機関などいろいろな人との付き合いがあります」と今の生活に満足していると話す。

観光農園、直売所、加工品製造とイチゴ栽培から大森さんの夢は広がる。

「作業が想像していた以上にいくらでもあり、試行錯誤の繰り返しです」と大森さんと裕美さん