農福連携 障害者が担い手として活躍

出雲市 太陽の里

農業と福祉を繋げる農福連携。農家は農繁期における労働力の確保、福祉施設は障害者や高齢者の働く場や生きがいづくりと双方にメリットがある取り組みだ。

出雲市斐川町の「太陽の里」では、障害者が特産のタマネギやキャベツなどの栽培から出荷までを事業所で行うほか、地域に出かけて農作業を手伝う「せわやき隊」が地域農業の担い手として活躍している。同施設は1986年の設立当初から、農業を就労の場として利用者が積極的に地域農業と関わりを持ち、地域に開かれた福祉施設として運営を行ってきた。

「農業は仕事を細分化できて、みんなで取り組むことができます」と藤井茂施設長。利用者にあった仕事を分業化して任せることで、仕事にやりがいを感じ、働く意欲に繋がっていると話す。

同町は県内でも有数の農業地帯だが高齢化や耕作放棄地の増加など地域が抱える問題に対し、施設側が農地を借り、営農を継続することで地域農業の下支えとなっている。

2008年からは、農家のお手伝いから始まった「せわやき隊」が本格的に活動を開始。この活動は、収穫や出荷調整などのさまざまな農作業を農家に代わって行うことで農繁期や高齢化など人手が欲しい農家をサポートする仕組みだ。現在は28名の隊員が活動している。

堆肥散布や収穫など年間30の法人や個人農家から作業依頼が入り、施設側は仕事内容や作業量に応じて農家から賃金を受け取る。

「利用者さんから、早く次の仕事をしようと急かされることもあります」と話すのは矢野真吾事業係長。

島根での賃金が2017年実績で月平均19,133円(就労継続支援B型事業所)に対し、同施設の平均は2万5,000円程度。多くの仕事を請け負うことで作業対価により支払われる報酬額が県平均を大幅に上回る。

作業を委託する同町の農事組合法人求院まめなかファームの妹尾勲組合長(68)は「年間の作業時間で1か月程度、田んぼや畑に堆肥散布をお願いしています。忙しい時期の貴重な労働力です」と話し、地域のパートナーとして心強く感じている。

藤井施設長は「地域との関わりがないと農福連携はうまくいかない。お互いの信頼関係を積み重ねていくことが事業を続けるポイント」と話し、

農業と福祉それぞれのニーズを補完し合うことで農福連携の可能性が広がることに期待する。

農家から依頼されたキャベツの収穫作業

「農作業を通じて自然と大きな声が出るようになります」と矢野係長(前列右)

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