ネット被覆による有機野菜の防虫対策 周年出荷も可能に

出雲市 島根県農業技術センター

島根県農業技術センターでは、防虫ネット被覆による有機露地野菜の周年出荷体系の構築に向けた実証を、県内5か所の実証ほ場で実施。定植直後から、防虫ネットで被覆することで収穫期まで高い防虫効果が確認できたことから、今まで困難とされてきた輪作による有機野菜の周年栽培の実現に向けて期待が高まっている。

県内農産物の有機農業取り組み面積は399㌶で、年々増加傾向だが露地栽培での害虫対策に頭を悩ます農家が多いのも現状だ。同センターでは、その対策として4㍉目以下の防虫ネットを使い秋冬期のキャベツ、ハクサイ、ダイコンのチョウ目害虫対策の実証試験を2012年から6年間実施している。

「初めて有機農業をする方のことを一番に考えました」と話すのは金森健一専門研究員。簡単で低コストでできる作付けモデルの構築について、防虫ネットの被覆時期や有機JASで認められた薬剤散布の時期などを数パターンに分けて検証を行った。使用するネットは、ホームセンターなどで販売している目合いが4㍉、1㍉、0.4㍉の3種類を使用。検証の結果から、防虫効果や価格など手軽に使用できるものとして目合い4㍉と1㍉のものが最適だと分かった。

得られたデータからは、安定出荷が可能となる品目ごとの作型や収量、栽培の難易度を割り出し、それにキュウリ、ナスなどの春夏期果菜類を組み合わせることで有機野菜の周年出荷ができることが確認できた。ただし、この方法は平坦部で作付する場合に対応しているので注意が必要だ。

農家の畑を使った実証ほ場では、太陽熱土壌消毒による除草とネット被覆による防虫を組み合わせて有機野菜栽培を行っている。その中の一つ、大豆を中心にキャベツやハクサイなどの有機栽培を行う益田市真砂地区の「農事組合法人グループまめ・こめ(久保田敏枝代表=73歳 組合員9名)」では、今年からこれら2つの栽培法に取り組む。「定植前の太陽熱土壌消毒を行うことで、除草作業の手間も軽減されたうえ、防虫ネットにより生育期の害虫被害が減り、野菜の生育も良くなりました」と久保田代表。

「昨年より大きな野菜を収穫できました」と久保田代表(右)とグループのメンバー

同センター技術普及部有機農業普及課の福間靖徳課長は「太陽熱土壌消毒と防虫ネットをセットで行うことで、露地での有機野菜栽培に効果が出ています」と研究成果に胸を張る。今後、現地研修会などを通じて、栽培技術の更なる普及を目指している。

ネットの裾は、害虫が入り込まないよう土に埋めるかしっかり押さえる。